法律の条文は読みにくいものが多いですが、その中でも会社法の条文は特に読みにくい条文の1つだと思います。
会社法の条文に慣れるためには、地道に条文を読んでいくしかなさそうです。
そこで、会社法の条文を読むという企画の記事を書いてみました。
今回は会社法の機関にに関する「役員」と「役員等」の違いについて、条文にふれつつ、解説してみたいと思います。
株式会社を管理運営する人達
会社法には、株式会社の管理や運営をする人以下のような人たちが登場してきます。
- 取締役:株式会社の業務の決定をする人。業務の執行をする場合もある*1
- 会計参与:取締役とともに計算書類の作成をする人。公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人のみが就任できる。
- 監査役:株式会社の業務が適正に行われているかを監査する人。
- 執行役:指名委員会等設置会社設置会社という形態を採用している株式会社の業務を執行する人。
- 会計監査人:株式会社の会計監査をする人。公認会計士・監査法人のみが就任できる。
「役員」と「役員等」の違い
ところで、会社法においてはこれらの人達を「役員」と「役員等」という言葉で厳格に分けています。
会社法329条1項を見ると
「役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第371条第4項及び第394第3項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。」
と規定していて、「役員」の後の括弧書きで「取締役、会計参与及び監査役をいう。」となっているので、会社法上「役員」とは取締役・会計参与・監査役のことを指していることがわかります。一方、この時点で括弧閉じの後に出てくる会計監査人は役員に含まれていないことがわかります。
さらに329条の次の330条を見ると「株式会社と役員等との関係」という題名を付けて
「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。」
と規定しているので、この時点では「役員等」というのが「役員(取締役・会計参与・監査役)」と「会計監査人」のことを指しているというのがわかります。どうやら、会計監査人は「等」扱いされているらしい。
さらに、423条1項で
取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
と規定していて、「取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人」を「役員等」というとなっているので、会社法上「役員等」とは「取締役・会計参与・監査役・執行役・会計監査人」を指しているということがわかります。執行役も会計監査人と一緒に「等」扱いされている人ということなのですね。
まとめると
であるということができます。